2010年06月09日
読売新聞の写真教室「見る撮る伝える」に参加した児童生徒たちの写真を展示した「こどもの目線」写真展。5月 30日(日)のキックオフイベントに集まった子供たちが、日比谷公園のいきものたちを撮影しました。
1年間の写真教室に参加した約700人のうち160人が集合。自分が撮影した写真がプリントされたTシャツを着て勢ぞろいした、子どもたち。
授業で使った㈱ニコン寄贈のデジタル一眼レフカメラD40を手に、注意事項を聞いたら撮影に出発。30分から 1時間公園内を歩きます。
戻ってきたら、いきものハカセと図鑑を見ながら写真を選びます。
たくさんの子供たちでにぎわいました
選んだ写真をエプソンの プリンターでハガキサイズに 1枚プリントします。
ハカセと一緒にいきものの名前や感想を書いて出来上がりです。
「写真・文章:読売写真大賞事務局」
高層ビルの立ち並ぶ霞ヶ関にある日比谷公園に、どんないきものがいるのか、いたとしても子どもたちは「みっけ」ることが出来るのか、私たちにとっても少々不安でした。しかし、そんな心配は無用で、子どもたちはまるで探検家のようにその中に飛び込んでいき、色々ないきものを見つけ、写真に納めてくれました。その中から特に素敵なものを選んで、私たちに教えてくれました。子どもたちの見つけてくれた「いきもの写真」を通じて、普段何気なく目にしている景色の中に、実はこんなにも多くのいきものがいることを皆さんにも気づいていただければ幸いです。
2010年06月03日
アブラゼミ 鳴く虫と言えば、セミやキリギリス・コオロギの仲間が思い浮かぶことでしょう。キリギリスやコオロギの仲間であるクツワムシやスズムシ、エンマコオロギなどの昆虫は、みな左右の前翅をこすり合わせて音を出しています。いわば、バイオリンなど弦楽器のような音の出し方です。これに対してセミの仲間は、腹部の脇の内側にある「発音まく」という部分を筋肉で振動させて音を出しています。セミの腹部の中は、ほとんど空洞で、ここで音は共鳴し増幅されてより大きくなります。セミの仲間は、昆虫の中でもっとも大きな鳴き声を出すことができますが、そのしくみはここにあります。まさに、「腹の底から声を出して」いるわけです。
セミが鳴いている時を観察すると、腹部の腹側の左右にある「腹弁」が震えているため、ここで音を出しているようにも見えますが、この「腹弁」は音を区切る働きをします。それによって「ミーン、ミーン」とか「ツクツクホーシ、ツクツクホーシ」といった、フレーズの区切りを作っているのです。
クマゼミ セミは
種の違いによって鳴き声が違うだけでなく、同じ地域にすんでいても鳴く時期や時間帯が重ならないようにすみ分けていると考えられています。例えばアブラゼミは、7月の下旬にはほぼ全国で鳴き声が聞かれますが、ツクツクボウシは鳴き始めが7月下旬〜8月上旬です。これは羽化して成虫になる時期のピークがずれているのです。また、西日本では、クマゼミはおもに午前中よく鳴きますが、アブラゼミは午後によく鳴くそうです(しかし、クマゼミが少ない関東地方ではアブラゼミは朝から鳴いています)。
エゾハルゼミ
セミが鳴くのは、オスがメスを呼ぶためですが、セミたちが成虫になって活動できる期間は長くても数週間。交尾の成功率は種の存続に関わります。
より確実にメスが同じ種のオスのところへやってきて交尾ができるように、他の種と鳴く時期や時間帯をずらしているのだと考えられます。このようにして、それぞれに異なる性質をもったセミの種が同じ地域にすんでいることで、私たちは身近な場所で様々なセミの鳴き声を聞くことができるのです。
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(参考文献)
「都会にすむセミたち 温暖化の影響?」(2007年)沼田英治・初宿成彦. 海游社
「四季・動植物最前線」(1998年)百瀬成夫. 技報堂出版株式会社
2010年05月25日
公園のいきものを写真に撮って展示しよう!
「いきものみっけ」 キックオフイベント 開催!
「いきものみっけ」は、5月30日(日)に開催される、
東京写真月間2010「見つけた!撮った!ワンダーランド」のキックオフイベントに参加します。
日比谷公園内の「いきもの」をみつけて、自由に撮影しましょう(カメラは貸し出されます)。
「いきものハカセ」と一緒に、その場で撮った「いきもの」の名前を調べてみましょう!
撮影した写真は、その場でプリントし、メッセージ等を書き込み、6月15日~26日に行われる
「いきものみっけ」写真展に展示されます(「いきものみっけ」写真展へ応募・選定された作品とは
別に展示されます)。
他にも、楽しいイベントが盛りだくさん。ご参加をお待ちいたしております!
日時: 2010年5月30日(日)10時 ~ 16時 (雨天決行)
場所: 日比谷公園「緑と水の市民カレッジ」みどりのiプラザ
1階のウッドデッキ(「いきものみっけ」ゾーン)
住所:東京都千代田区日比谷公園1‐5
電話:03-5532-1306
※人数制限無し、予約必要無し
地図: 「緑と水の市民カレッジ」→
https://www.tokyo-park.or.jp/college/inquiry/index.html
東京写真月間のHPはこちら→
http://www.psj.or.jp/gekkan/schedule/index2010.html
2010年05月06日
カッコウは5月の中旬頃に、東南アジアなどから日本へ渡ってきます。メスは、オスより少し遅れてやってきます。他の多くの夏鳥たちが4月のうちに渡ってくるのに比べると、カッコウの渡来はかなり遅いと言えます。また、カッコウは、自分で子育てせずに他の種の鳥の巣に卵を産み育てさせる「托卵」という習性をもっています。日本へのカッコウの渡来が遅いのは托卵する相手の鳥が巣を作った頃に渡来を合わせているからなのか、それともカッコウが主食としている毛虫(ガの仲間の幼虫)が4月にはまだ十分発生していないからなのか、はっきりとした理由はよくわかっていません。
カッコウのオスはより多くの子孫を残すために、(托卵するので自分たちは巣を作らないとはいえ)より良い縄張りを持とうとします。「良い縄張り」とは、托卵する相手の鳥がたくさんすんでいる場所です。カッコウが托卵する相手の鳥の種は、オオヨシキリやモズ、オナガなどおよそ30種もいるそうですが、カッコウの1羽1羽では相手の鳥の種は決まっています。カッコウは托卵を成功させるためにその鳥の卵に似せた卵を産みますが、自分の生む卵の持つ模様の個性に合わせて托卵の相手の鳥を1種に限定しているのです。
カッコウのヒナを世話するアカモズ
(写真提供/星野裕一 氏)
しかし托卵される側も、黙って見ているわけではありません。カッコウが巣に近づいたら猛烈に攻撃したり、カッコウの卵を識別して巣の外に放り出したりします。カッコウが托卵を成功させるには「いかに里親の鳥の卵に似た卵を産むか」ということが重要です。卵が似ているほどヒナが無事育つ確率が高いので、その親の遺伝子がより多く受け継がれ、それを繰り返して世代を重ねるうちにカッコウの卵が里親の卵に似てくるのだと考えられています。
オナガ(写真提供/(株)生態計画研究所)
鳥類研究者の中村浩志氏の研究によると、1970年代頃からカッコウがオナガに托卵するようになったそうです。もともとカッコウは高原に、オナガは平地に生活していたのですが、それぞれが生活場所を拡大して両者の分布が重なったため、托卵が始まったようです。最初はみられなかったカッコウへの攻撃や、卵を見分けて放り出すといった行動をとるオナガが現れたのは、それからわずか10年ほどたった頃だそうです。
カッコウに托卵される鳥は、カッコウの卵を見分けられないと子孫を残せませんし、カッコウは里親の卵に似せた卵を産めないと子孫が残せません。私たちが気づかないところで起こっているこのようなせめぎ合いは、非常に短い期間に彼らの行動を新しい環境や生態系のつながりに適応させているのでしょう。
オナガに托卵するカッコウの卵は、今はまだあまりオナガに似ていないのですが、数十年後くらいにはそっくりな卵を産むようになるかもしれません。
(参考文献)「子育てしない鳥の子育て術」アニマNo.188(1988年)中村浩志. 平凡社
「カッコウの子育て作戦」(1990年)松田喬・内田博. あかね書房