かたい種子をフライパンで炒り割って食べると、独特のにおいが酒のつまみとして大いに喜ばれます。
そんな秋の味覚、イチョウの実(ギンナン)をみつけに、東京にある2つの場所に行ってみました。

初めにご紹介するのは、皇居と東京駅を結ぶ行幸通りです。
東京を代表するイチョウ並木のひとつで、皇室行事に使用される内側の道は、
車の往来が禁止されているため、ゆっくりと観察ができる貴重なスポットです。
10月末に訪れると、皇居へと続く道が一面に色づき、秋の深まりを告げていました。

イチョウには、実(ギンナン)がなるメスの木とオスの木がありますが、
実には強烈な匂いがあるため、街路樹には、主にオスの木が用いられるようです。
行幸通りのイチョウ並木の多くは、オスの木のようで実はありませんでしたが、
メスの木も数本程度ある様子で、近づいてみると、
メスの木の下にはイチョウの実(ギンナン)が落ちていました。
落ちてから時間が経っていないようで、実は原型をとどめていました。
メスの木を見上げると、まだたくさんなっていて、落ちている実は全体の3割程度といったところでした。
ところで、この行幸通りのイチョウ並木の足元を掘ってみると、江戸時代に松平家の大名屋敷に利用されていた玉石や、関東大震災復興の際に馬場先濠を埋めるために持ち込まれたレンガや瓦礫が出土するそうです(有賀一郎氏「知られざる "丸の内のイチョウ" の話」セミナーより)。
この場所がたどってきた歴史の流れをしめす興味深いエピソードですが、イチョウの起源にも、壮大な歴史があるのをご存知でしょうか?
なんと、イチョウの祖先は中生代のはじめに出現したと考えられており、現在見られるものとほぼ同じものが、約6500万年前~約2500万年前の化石から発見されているそうです。
恐竜の時代から存在していたイチョウは、まさにダーウィンが表現した「生きた化石」のひとつなのです。
見慣れた街の木ですが、現代に生きる化石だと思って改めて眺めると、太古の昔への想像がかき立てられますね。
次にご紹介するのは、かつて東京オリンピックの会場となった駒沢公園です。
お花見スポットとして有名ですが、秋に色づくイチョウ並木も見物です。

行幸通りが、一面黄葉していたのに対して、こちらは黄葉の進行が異なっていて、まだ黄葉がすすんでいない木々も見られました。同じ場所に生息しているイチョウにも生まれ(遺伝する性質)や育ち(土壌条件など)などで、個体差が生れるそうです。人間一人ひとりに個性があるのと同じなのですね。


まだ黄葉が進んでいないイチョウの木の下には、落ちて間もないイチョウの実(ギンナン)が所々に落ちていましたが(写真左)、黄葉したイチョウの木の下には、踏みつけられ原型をとどめていない実の跡が残っているだけでした(写真右)。こちらはすでに、落ちてから時間が経っているのでしょう。


見上げると、枝につくたくさんの葉を確認できますが、 実は、より多くの光を受けることができるように、長枝(写真右)と短枝(写真左)という 2種類の枝をつくっているそうです。
短枝は、葉柄の長さの異なる葉を何枚もつけ、数年に数ミリしか伸びないので 上手い具合に、葉の重なり合いを避けることができるのです。
同じように、短枝をつくる樹木としてサクラ、カラマツ、アオハダなどがありますが、 いずれもイチョウほど、はっきりとした短枝をつくることはないそうです。
「いきものみっけ」の際に、みなさんも短枝をチェックしてみてくださいね。
今回、イチョウの実を観察していると、「臭い!」と言いながら通りすぎる人たちの言葉を何度も耳にしました。確かに、イチョウの実の匂いは強烈です。でも、「いきものみっけ」を通して、イチョウを知るにつれ、その生態に興味が湧いて、不思議なことに匂いはそれほど気にならなくなりました。みなさんも、イチョウのことをもっと知っていただければ、あの匂いも気にならなくなるかもしれませんね。
イチョウの黄葉を楽しみながら、「いきものみっけ」のご報告もお願いします。
イチョウの実が落ちはじめたら、すぐにご報告ください。
見つけたら、報告はこちらへ⇒
http://www.mikke.go.jp/discovery



















