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2010年03月01日

意外に知られていないツクシの世界

<ツクシという名の植物は存在しない?>

ph_tsukushi_l.jpg 春の山菜としても知られるツクシ。茎にある節(はかま)を取ったツクシを炒めて、だし汁、しょうゆ、みりんで煮つめると「佃煮」に、湯がいたツクシをしょうゆと砂糖で味つけし、溶き卵を加えると「卵とじ」の出来あがりです。野草ならではの、ほろ苦い味わいの料理が楽しめます。
  このように食卓に登場するほど身近なイメージのあるツクシですが、どんな植物であるかはあまり知られていません。実は、「ツクシ」という名称の植物は、学術的には存在しません。ツクシは、シダ類である「スギナ」の胞子をつくる部分の呼び名です。スギナは、約3億年前に繁栄したスギナの祖先の植物から、体のつくりがほとんど変わっていないため、「生きた化石」とも言われています。古生代のスギナの祖先には、なんと10階建てのビルほどの高さ(約30メートル)にまで成長するものもいたそうです。


<子孫を増やすツクシの役割>

スギナは地下に根のような茎を伸ばし、そこから増えていくこともできますが、より広範囲に子孫を残すために、重要な役割を担うのがツクシです。ツクシは頭の部分から、1本あたりおよそ200万個の胞子を飛ばします。風に乗った胞子は、土の上に着地して、そこで芽を出します。この芽は、コケの一種ゼニゴケに似た平たい形をした「前葉体(ぜんようたい)」で、スギの枝に似たスギナとは全く異なる形をしています。
前葉体には精子を作る部分と卵を作る部分があり、精子と卵が出会うために、精子は泳いで移動しなければなりません。泳ぐためには、水が必要です。雨が降るなどして前葉体が水に覆われると、やっと受精することができるのです。そうしてスギナの成長が始まり、受精の役割をはたした前葉体は枯れてしまいます。
1本のツクシに200万個もの胞子がつまっているのは、これらの厳しい条件を乗り越えてスギナまで育つ確率がほんのわずかしかないからです。ひょろりとしたユーモラスな姿にも、このようなドラマが隠されていたとは驚きですね。

いきものみっけでは、1月からツクシのみっけ報告を集めています。旬の味覚に出会えるのも、いきものにふれ合う楽しみのひとつです。今年の春は、ツクシ採りに出かけてみてはいかがでしょう?ちなみに、美味しいツクシを見分けるポイントは、頭の部分が硬く緑色をしたものだそうです。

2010年02月23日

「ハックルベリーの森で、いきものみっけ」リポート

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実地日:2010年2月1日(月曜日)
場所:ハックルベリーの森(福井県南六呂師)
主催:特定非営利活動法人エコプランふくい
http://ecoplanf.com
協力:ノーム自然環境教育事務所
参加者:福井三谷館保育園の園児たち
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ハックルベリーの森とは、 大野市南六呂師に位置する、標高600mの高原地帯の一角に「ハックルベリーの森」はあります。 年平均で気温は約15度・湿度は約65%・積雪約150cm・広さ約2ヘクタールほどの小さな雑木林ですが 四季を通じて、様々な植物や動物たちが観察できます。




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9時: ノーム自然環境教育事務局に、幼稚園児とボランティアの父兄さんが集合。今回は29名の年中さん年長さんの園児(5~6歳)が参加。 みんながスキーウエアに着替えた後、リーダーの坂口 均さんから今日のスケジュールと山に入るときのルールについてお話がありました。 ルールはひとつだけ。 「山に入ったら、動物たち脅かさないように大きな声を出さないようにしましょう」。



真剣に聞き入る、園児たち。真剣な表情がかわいい。最後に全員が手を上げて「ハーイ!」
バスに乗って5分ほど。 ハックルベリーの森に到着です。
幼稚園は市街地にあり、こんなに雪を見るのは珍しいこと。降り積もった雪山に囲まれて、みんなもワクワクしています。
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積雪は150cmを超えます。 大人は、足が雪に埋もれないようにかんじきを履いてスタンバイ。

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おっと、滑らないように注意、注意。







いざ、出発!こどもたちは、雪に足をとられながら、大自然のプレイグラウンドへ駆け出します。6P1140488.jpg7P1140499.jpg8P1140498.jpg

もこもこした雪の塊は、大きな子どもたちにとって最高の遊具。 雪だるまをつくったり、滑り台にしたり、 何もない自然のなかから遊び場を見つけ出していきます。

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ハックベリーの森につきました。
さて、ここで森のルールの確認。「覚えてるかな?」「森のなかにはいろんな動物さんがいるから、驚かさないように静かに観察しましょう」。みんな、ちゃーんと覚えていました。 全員が森の神様に今日の無事を祈って、いよいよ森へと入ります。




1)動物の足跡を見つけてみよう。 左)真ん中の一列はきつね。移動する際にエネルギーを消耗しないように前足を置いた後に後ろ足を入れるから、二本足のようにまっすぐな跡がつくのだとか。 右2つ)うさぎ。ブルーが前足、ピンクが後ろ足。
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2)においを嗅いでみよう。 うさぎの糞を探してにおいを嗅いでみると、意外や意外。それは、お茶を蒸したようないいにおいなのです。草食なので雪で腐敗されなければ、臭くはならないそう。 みんな、はじめての体験でした。P1140523.jpg

3)雪のなかにあるものは何かな? 雪の表面からうっすら見えるものを当てっこ。そっと雪をはらうと、葉っぱや鳥の羽根などが現れます。なんだか宝探しのようです。
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4)触れてみよう。 野うさぎの冬毛です。たっぷりとしたこの時期の毛は、やわらかくて、ふ~わふわであったかい。
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シェパード犬のミクちゃんの毛はどうかな?
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5)これは何でしょう? 左)"てんそう"という蛾の一種の殻。袋の中でミイラになっていました。 右)大きく剥がれた木の皮。内側に、昆虫の卵が産みつけられていることがあります。
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自然と一緒に遊ぼう! 自然の大すべり台に一同大興奮。頭からスライディングしたり、2人で手をつないで滑ったり。 まさしく体当たりで雪と遊ぶこどもたち。
先生や父兄の方々も「少々やんちゃしたって大丈夫!」と微笑ましく見つめていたのが印象的でした。参加を減るごとに逞しくなってきたそうです。
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大人だって。
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今度は、ごろーんと横になって、森の動物たちになった自分を想像してみましょう。「冬眠している動物は今、どんなことを考えているかな?」 耳を澄ませて風の音を聞き、体に雪の冷たさを感じながら、視界には空の色がいっぱいに広がります。 普段は閉じている感覚を自然のなかで、めいいっぱい働かせる心地よさ。大人の皆さん、こんな風に大地に寝転んだのはいつですか?
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次は、リスやうさぎなど、冬を乗り切るためにがんばっている動物へ、クルミのプレゼント。 「どこでどんな動物が食べてくれるかな?」 各自が場所を決めて、そっとクルミを置いていく。鳥さんにと木の上に。リスさんへと木の節に。
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12時。そろそろ森を出る時間です。 手を合わせて、みんなが無事で帰れることに感謝を捧げます。 目をきゅっとつむり、小さな手のひらを合せる姿がかわいい。森へ感謝する意味は、一人一人違うかもしれませんが、森は神聖であり、自然に対して謙虚な気持ちが芽生えたことは、きっと同じです。
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坂口さんは言います。 「森に住んでいるといわれるノーム(妖精)は、草や木やいろんな生き物たちと力を合わせて、森を守っていると言われます。 私たちはそんなノームの姿を思いながら、様々な活動を通して自然とともに豊かに暮らすこころや智慧をお互いに学びあいたいと考えます」
さあ、春にはどんなふうに森が姿を変えるのでしょう。森での「いきものみっけ」は、これからも続きます。

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近日中に、園児たちの絵と感想文を掲載します。お楽しみに!

2010年02月15日

これから注目したい春のいきものたち

立春が過ぎ、暦のうえでは春ですが、皆さんのまわりでは春を感じることができますか?季節の変わり目は、いきものみっけにとって重要な時期です。いきものが活動を始めた時期と各地の気温を照らし合わせてみると、温度や気候の変化がいきもののくらしに与える影響について分かるかもしれません。今回は、特にこれから注目したい春のいきものをピックアップしました。皆さんのまわりにいるいきものの今を、探してみてください。

<ジョウビタキ>
秋に大陸から渡ってくるジョウビタキは、春になると繁殖のために、また大陸に戻っていきます。この時期は、「ヒッヒッヒッ」という地鳴き以外に、さえずりの練習を始めるジョウビタキもいるようです。繁殖に向けて、着々と準備を始めているのでしょう。
いきものみっけではすでに650件以上の報告をいただいていますが、日本で、いつまでジョウビタキが見られるのか観察することで、春の渡りの時期を推測することができます。引き続きジョウビタキのみっけ報告をお願いします。

<ウグイスのさえずり>
「ホーホケキョ」というウグイスのさえずりは、春になって、繁殖のために縄張りを主張したりメスを求める、オスの鳴き声です。
鳥のメスは、オスを選ぶのに上手なさえずりを一つの目安にしていると言われています。上手にさえずるには、経験や体力が必要です。丈夫な子孫を残したいメスは、さえずり上手なオスを選ぶため、オスの「上手にさえずる」遺伝子が受け継がれていきます。ウグイスのような美しいさえずりは、メスの好みでさらに複雑にさえずる方向に進化してきた結果だと考えられています。
昨年の春に生まれた若いオスは、年上のオスの上手なさえずりを真似して鳴き方を覚えていくそうです。練習を重ねて、パートナーを見つけられると良いですね。

<マンサクの花>
黄色いリボンのような花びらが特徴のマンサク。その名前は、春を先取りして「まず咲く」ことや、枝いっぱいに花が咲く「満咲く」などに由来すると言われています。
早春に開花しますが、暖かい地域と寒い地域では開花時期に2~3ヶ月ほどの開きがあります。また、公園で見られる中国産の園芸種は、山地や林の中に自生している野生種より 花が咲く時期が早いといわれています。
日本海側で見られるマルバマンサクのほか、オオバマンサク、ウラジロマンサクなどでも報告できますので、春の訪れを知らせるマンサクの花を探してみてください。

<ヒキガエルの卵>
大きく分けると、近畿以東にはアズマヒキガエル、近畿以西にはニホンヒキガエルがすんでいます。普段は山地の森林などにいますが、繁殖の時だけ水辺にやって来ますので、移動するヒキガエルを見かけたら近くで卵を見つけることができるかもしれません。
浅い池・沼や、水田などで、無数の卵が入ったゼリー状の管を見つけたら、いきものみっけへの報告をお願いします。

2010年02月12日

3月7日 いきものみっけ in 見沼

以下イベントが埼玉県見沼で3月7日に開催されます。是非参加の申し込みを!

平成22年3月7日(日)
集合場所:染谷会館(地図:裏面)
集合時間:午前9時45分(受付開始9時30分)
対 象:親子(お子様は小学生が対象)
定 員:親子20組(40名程度)

-- みっけコース --
染谷会館(30分講話)→加田屋たんぼ
→見沼自然公園→解散(12:00)

【はじめに〝いきもの〟のおはなしを聞いたり、実際に田 んぼ周辺へ〝いきもの〟を観察しにいきます。】

申込方法
申込情報(お名前、ご連絡先(当日の緊急連絡先も))をご記入のうえ、FAX またはE メールでお申し込み下さい。
FAX:048−749−1218 E メールアドレス:goto@kannet-sai.org

※当日は寒いと思いますので、暖かい格好・汚れてもいい格好で参加してください。
※必ず親子でのご参加をお願いします。
※小学生以下のご兄弟ご姉妹がいる場合は、是非ご一緒にご参加下さい。
主催:埼玉県地球温暖化防止活動推進センター/環境省
共催:NPO法人見沼ファーム21

2010年01月26日

たくましく生きるホトケノザの戦略

ホトケノザを漢字で書くと「仏の座」。向き合った2枚の丸い葉が、仏像の台座のように見えることが名前の由来です。その葉の付け根には、管状の花を咲かせますが、これは昆虫に蜜だけを持っていかれないように工夫された形なのだそうです。つまり、花の奥にある蜜で昆虫を誘い、入り口にあるおしべの先がその体にふれて花粉が運ばれるようにする、ホトケノザの戦略なのです。

ホトケノザの作戦は、それだけではありません。普通に先が開いて咲く花の他に、小さなつぼみのような花をつけているのです。これは、花びらが退化した「閉鎖花(へいさか)」と言われる花で、花が開くことはありません。驚いたことに、この中でもおしべとめしべが直接受粉をおこない、たくさんの種子が作られるそうです。この閉鎖花は、チョウやハチに花粉を運んでもらわなければならない通常の花に比べて、種をつける率が高いのが特徴です。

016_hotokenoza_0518_4.jpg では、なぜ受粉する確率が閉鎖花より低い通常の花をわざわざ咲かせるのでしょうか?実は、閉鎖花は自らの花粉で受精するために、健康な子孫を残せない可能性があるのです。通常の花で他の株の花粉を受粉した方が、遺伝的に多様で、丈夫な子孫を残すことができます。閉鎖花は、チョウやハチに来てもらえなかった時のための、保険のようなものです。

さらにホトケノザは、その種子にもしたたかな戦略があります。アリの好物であるエライオソーム(脂肪酸の一種)を種子につけることによって、遠くまでアリに運んでもらうのです。アリは、好物の部分をかじりとると、巣の近くに種子を捨ててしまうので、条件が合えばホトケノザはそこで芽を出すことができるというわけです。

このような仕組みは、種子を鳥に食べられることも、風にのせて運ぶこともできないホトケノザが、限られた条件のなかで、子孫を残すために生み出した工夫なのです。一見すると、畑や空き地、道ばたなどに生えるか弱い草花のようですが、そこには、したたかに生きる野生の力強さが隠されているのですね。