報告件数:2010年度 872件

図1.ツバメの子育ての調査結果(2010年いきものみっけ)
図1.ツバメの子育ての調査結果(2010年いきものみっけ)
画像をクリックすると拡大表示します。
(左)図2.ツバメの巣の近くにあるもの(愛知県)(右)図3.ツバメの巣の近くにあるもの(神奈川県)

(左)図2.ツバメの巣の近くにあるもの(愛知県)

(右)図3.ツバメの巣の近くにあるもの(神奈川県)

画像をクリックすると拡大表示します。

「ツバメの子育て」の調査は、人家に巣を作ることも多く、身近ないきものとして親しみのあるツバメの子育てについて調べ、巣を作っている場所とその周辺の環境について報告していただき、彼らがどのような環境を必要としているかを考える、という目的で行いました(2010年のみ)。ツバメが子育て中であること、または巣立ったことを確認し、巣で種類を見分けて報告していただきました。また、巣の近所にある、ツバメが巣材を集めることができそうな場所についても調べてもらいました。

種ごとのツバメの分布について、2010年いきものみっけの結果をみると、ツバメは北海道南部から九州まで広く報告がありました。コシアカツバメは、奈良県、鳥取県、福岡県など西日本を中心に、福井県、静岡県、神奈川県からも報告がありました。沖縄県からはリュウキュウツバメの報告が1件ありました(図1)。

ツバメは人工建造物に巣を作ります。巣は、泥に植物の茎や葉などを混ぜ唾液で固めて作ります。したがって、周辺で巣材の泥を集められることが営巣の重要な条件であり、また緑地や、河川・お堀などの水辺があると、雛に与える餌の昆虫を豊富に集めることができます。そのような場所があれば、市街地の中心部などでも子育てができると考えられます。

報告件数の多かった愛知県と神奈川県について各県の土地利用図に、「巣の近所にあるもの」を示すと(図2・図3)、愛知県・神奈川県ともに、市街地では「緑の多い公園や緑地、林など」が最も多く、次いで「河原や池、お堀など」が多いことがわかります。市街地で繁殖しているツバメを観察した例として、東京駅周辺や丸の内のオフィス街に営巣しているツバメは、皇居のお濠に飛来し、餌をとったり水浴びをしたりしているようです(唐沢,1987)。地面がアスファルトやコンクリートでおおわれていることの多い市街地でも、公園や護岸されていない河川の河原など、ある程度まとまった面積で土が得られる場所が近くにあれば、そこで巣材を集めて巣作りをすると考えられます。

愛知県では、市街地の周囲が広い面積の農地となっています。この区域では、巣の近くにあるもので最も多かったのは「水田や畑」でした(図2)。農村地帯にある人家などに営巣するツバメは、すぐそばにある畑や水田で容易に土を集めることができ、ヒナに与える餌も豊富にあると考えられます。本来はこのような場所が、ツバメにとってもっともすみやすい環境と考えられます。

引用文献
唐沢孝一(1987)人に守られて繁殖するツバメ.マンウォッチングする都会の鳥たち.58-74