報告件数:858件

- 図1:ツマグロヒョウモンの調査結果(2009年度いきものみっけ)
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- 図2:2000年におけるツマグロヒョウモンの分布(環境省第5回自然環境保全基礎調査)
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ツマグロヒョウモンは、地球温暖化などの影響によって分布が北へ広がっていると言われています。過去に調査された結果と比較して、実際に分布が拡大しているのか、北はどの辺りまで見られるのかを調べました。
2009年いきものみっけの調査開始は6月1日からでしたが、それ以前の4月・5月の情報も50件ほどよせられ、全報告数は858件と非常に多く、ツマグロヒョウモンに対する関心の高さがうかがえました。報告は、環境省の第5回自然環境保全基礎調査における2000年までの分布確認(図2)では記録されていない、岩手県、宮城県、福島県と茨城県北部からもよせられました。最北の報告は、岩手県盛岡市からです。宮城県名取市からの報告には、自宅の庭での初めての確認、とコメントがありました。一方、東日本の日本海側は、1988年までに秋田県、山形県、新潟県で記録がありますが、今回の結果では、新潟県の南部で2件報告があったのみでした。
関東地方においては、2000年までは確認された地点がわずかで(図2)、まだ定着している(世代交代を安定して繰り返している)とはいえない状況でした。しかし今回の結果では、関東地方の特に首都圏から非常に多くの報告がありました(図1)。また4月・5月の関東地方からの報告は、幼虫の確認も含め20件ほどありました。ツマグロヒョウモンは幼虫か蛹で冬越しするため、4月・5月に確認されているということは、ツマグロヒョウモンがそこで越冬している可能性が高いのです。これらのことから、今回の調査により関東地方での定着が確実になったといえます。
次年度の調査では、関東以北、特に日本海側でより多くの情報を集めるとともに、春の早い時期から調査を始め、どの辺りまで定着していそうかを調べたいと思います。
(解説)
南方系のチョウであるツマグロヒョウモンは、1980年代までは近畿地方より西に分布していました。それが分布を北へ広げてきた事について、いくつかの理由が考えられます。
一つは、冬の気温の上昇です。近年の地球温暖化やヒートアイランド現象によって、冬の気温にツマグロヒョウモンが耐えられる地域が広がっていると考えられます。二つ目は、幼虫のエサになる植物です。他のヒョウモンチョウの仲間が野生の植物を食草としているのに対し、ツマグロヒョウモンはパンジー、ビオラなどスミレ科の園芸植物も利用します。それらの園芸植物が各地の市街地や住宅地に広く植えられるようになったため、幼虫のエサが豊富になりました。また上記の冬の気温の上昇により、一年を通してそれらが得られるようになってきたことも要因となっているのでしょう。三つ目は、繁殖力が強いことです。ツマグロヒョウモンは年に4、5回ほど発生を繰り返すため、エサや気温などの条件が良ければ、短期間に数を増やして分布を広げることができます。しかし、そのようにして新たに進出した地域では、気候変動などの影響を受けやすいため、分布の境界線付近では年ごとに生息の状況が変化していると考えられます。
このように、地球温暖化や都市化、園芸植物の栽培など複数の要因によって、本来定着していなかった地域の環境が、ツマグロヒョウモンの生態にうまく合致するようになった結果、分布を拡大してきたと考えられます。
※図1は「地球地図日本(簡易版)」バージョン1.1を使用して作成

















