報告件数:645件

- 図1:アオスジアゲハの調査結果(2009年度いきものみっけ)
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- 図2:1984年におけるアオスジアゲハの分布(環境省第3回自然環境保全基礎調査)
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- 図3:1998年におけるアオスジアゲハの分布(環境省第5回自然環境保全基礎調査)
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- 図4:タブノキの分布(Horikawa,1972を一部改変)
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アオスジアゲハは本来、暖地の照葉樹林にすむチョウと考えられますが、食樹(幼虫が葉を食べる植物)であるクスノキが公園や市街地などに植えられるようになって分布を広げているのではないかといわれています。またこれまで、分布の北限は日本海側が秋田県由利本荘市、太平洋側が岩手県山田町とされていましたが(福田ら,1982)、それよりも北で観察されているのかどうかを調べるため、特に東北地方からの報告に注目しました(図1)。
2009年いきものみっけでは、報告の最北は宮城県石巻市で、山形県・秋田県・岩手県・青森県からの報告はなく、分布北上の状況は正確には把握できませんでした。しかし関東以北では、宮城県から3件、福島県から1件、新潟県から4件と少ないながらも報告がありました。
この2009年の結果と、環境省自然環境保全基礎調査の第3回(1984年までの分布, 図2)および同第5回(1998年までの分布, 図3)の結果を比較すると、約25年間で、分布に大きな変化はないことがわかります。またいきものみっけの結果は、秋田県・山形県・岩手県の情報がなかった点を除けば、後者と非常によく似た分布のパターンを示しています。多くのみっけにんの皆さんが寄せてくださった報告は、専門家による調査や既存の文献の記録をまとめた結果にも相当する情報であったといえるでしょう。
今後は、東北地方から数多くの報告を集め、アオスジアゲハの分布の北限の状況を把握したいと思います。
(解説)
アオスジアゲハは、クスノキ科のクスノキ、タブノキ、シロダモなどの植物を食樹として利用します。これらの植物は、西日本には広く分布していますが、東日本ではおもに海岸沿いに分布しています。そのため、アオスジアゲハもこれらの植物と同じような分布を示し、東日本の内陸には分布していません。
クスノキ科の樹木の中で、最も北まで分布しているのはタブノキです。図4のタブノキの分布をみると、青森県にもわずかながらタブノキが分布しています。
近年、秋田市内の植栽のタブノキでアオスジアゲハの越冬蛹が発見されたり(鈴木, 2007)、タブノキの天然林がある青森県深浦町において、卵からその羽化までが確認されたりしています(工藤, 2008)。しかし、秋田県から青森県にかけてのタブノキの分布は断続的であり、また冬季の気温が低すぎて蛹が死んでしまう年もあると思われ、今後これらの場所でアオスジアゲハが定着できるかどうか、はっきりしません。
アオスジアゲハの分布の北限付近では、タブノキが広く植えられるなどして食物が安定供給されることで個体数が増え遺伝的な多様性が確保されることや、冬季の気温が蛹が越冬できる程度に安定する、といったいくつもの条件がそろわなければ、安定して世代交代を繰り返すのは難しいと考えられます。この25年間でアオスジアゲハの分布が大きく変化していないことは、その難しさを物語っているのではないでしょうか。
※図1は「地球地図日本(簡易版)」バージョン1.1を使用して作成
- 引用文献
- 福田晴夫ほか (1952) 原色日本蝶類生態図鑑Ⅰ: 94-96. 保育社.
- 鈴木信愛 (2007) 秋田県秋田市でアオスジアゲハ採蛹.蝶研フィールド(253): 30.
- 工藤誠也 (2008) 青森県におけるアオスジアゲハの発生記録. 月刊むし(445): 9-12.
- Yoshiwo Horikawa (1972) Atlas of the Japanese flora : an introduction to plant sociology of East Asia. 96. Gakken Co..

















