1995年(平成7年)に実施した「身近な生きもの調査」と、それまでに記録されている林(1991)の分布調査の結果(地図中の緑色の●)では、太平洋側では茨城県まで、日本海側では富山県まで分布していたことが分かっています(図7、8)(※注2)。今年度(2008年度)の調査(地図中のオレンジ色の●)では、これらのクマゼミが定着(※注3)していると思われる地域から分布が北に拡大しているかどうかを調べました。
- 図7:2008年と過去の分布情報におけるクマゼミの分布の比較(東日本)

画像をクリックすると拡大画像が開きます。- 図8:2008年と過去の分布情報におけるクマゼミの分布の比較(関東地方)

画像をクリックすると拡大画像が開きます。
その結果、最近分布の北上について話題にあがるクマゼミですが、今回の調査では大きな変化は見られず、ここ17年くらいで急激に分布が北上しているわけではないようです。
ただし、日本海側では新潟県新潟市、山形県山形市、太平洋側では栃木県塩谷町からそれぞれ1件ずつ、鳴き声を聞いたという報告がありました(地図中の明るいオレンジ色の●)。しかし報告数が少ないため、本当にこれらの地域で定着しているのかどうかは分かりません。植木や土砂の移動など人の手によって偶然運ばれたのかもしれませんし、偶然遠くまで飛んできたという可能性も考えられます。
今年の夏は、北陸地方や関東北部を中心に、さらに詳しい生息状況を調べて、本当にクマゼミが定着しているのか調査していきたいと考えています。この地域の皆さんには特に、この夏も引き続きクマゼミが鳴くかどうか注目し、「いきものみっけ」に報告していただきたいと思います。
- ※注2 使用したデータ
-
- ■過去の分布図(地図中の緑色の●):
- ・林正美(1991)日本産セミの分布調査報告(3)-ニイニイゼミ属、ケナガニイニイ属、クマゼミ属-, 日本セミの会会報Vol.10, No.1/2
- ・環境庁(1997) 第5回緑の国勢調査 '95身近な生きもの調査(セミのぬけがら)調査結果最終版
- ■2008年分布図(地図中の赤色とオレンジ色の●):
- ・2008年度(平成20年度)「いきものみっけ」夏のいきものしらべのクマゼミ調査より※飛び地的分布地点として、新潟県新潟市、山形県山形市、栃木県塩谷町の3地点はオレンジ色で表示
- ※注3
- 定着とは、たまたま一匹の成虫や幼虫がそこで生きているだけではなく、数世代が同じ場所で成長・繁殖している状態をいいます。

















