お正月にうれしいのは、友人や知人、お世話になっている方などからの年賀状。今年は丑年ですから、当然「牛」にちなんだ年賀状をよくいただきます。 いろいろと工夫の凝らされた牛のイラストの下に、普段なかなか会えない人からの一言が添えてあったりして、楽しくうれしい気持ちになります。そんな年賀状 の束の中に、チラホラと一筋縄でいかない年賀状がある。そう、「いきもの屋」(注1)の仲間からくる年賀状だ。
私たちに馴染みの深い「ウシ」は偶蹄目ウシ科ウシ属(目・科・属については前回の僕のコラム参照)の数種から品種改良されたいきものだ。多くの人 は、この「ウシ」をテーマに年賀状を書くのだけれど、いきもの屋は「ウシならなんでもいいじゃない!」といって自分の好きないきものの中の「ウシ」をテー マに年賀状を書いてしまう。
「自分の好きないきものの中のウシ」といったのは、魚や昆虫など自分が好きな「いきもの」の中で、名前に「ウシ」がつくものの事。ウシは 私たち人間にとって非常に馴染み深いいきもので、それゆえに他のいきものを名づけたり呼んだりする際に、ウシになぞらえたり、ちなんだりすることがある。 これをいきもの屋仲間は、好きな「いきもの」の中からうまく見つけて、ユニークな年賀状を送ってきてくれる。
さてだんだんと好奇心がわいてきて、ウシと名につくいきものを調べてみた。するとどうやらいくつかのパターンがあるようだ。
- その形や風貌から、ウシ・・・
ウシヅラヒゲナガゾウムシ(別名エゴヒゲナガゾウムシ)、シマウシノシタ(シタビラメの仲間)、ウシノツメ(マツバガイ、貝の仲間)ウシヅノエンマコガネ(コガネムシの仲間)等、ウシのような角をもった物や、ウシの体の部位にちなんだもの。 - イメージから、ウシ・・・
ウミウシ類、ウシハコベ、ウシエビ、ウシガエル等、ウシから連想される「大きい」や「ゆっくり」といったイメージから名前がついたもの。ちなみに、エビにはウシエビのほかに、サルエビ、トラエビがいて年賀状にはもってこいだ。 - 何かしらウシと関わりがあって、ウシ・・・
ウシジラミ、ウシアブ、ウシグソヒトヨタケ(キノコの1種)など、ウシに寄生したり、牛糞に生えたりとウシに関係のあることから名前にウシが入ったもの。 - 何かしらウシと関わりがあり、ウシと名についたいきものに関わりのある、ウシ・・・
ウシコロシハワタムシ(アブラムシの仲間)は、ウシコロシ(別名カマツカ)という牛の鼻輪に使用したことから名付けられた植物に寄生するので結果的にウシと名前にはいったものだ。
こう整理してみると、いきものの名前って実におもしろい。そういえばまだ返事を返していない友達がいたナ。ここは一つ僕もウシのつく生き物を・・・。そうだ!いきものみっけ夏のテーマの「ツクツクボ ウシ」なんてどうでしょう。
・・・・。はい、おあとがよろしいようで。
- 注1:いきもの屋
- 生物屋(せいぶつや)と読むのだが今回は「いきもの」みっけにちなみ、いきものと読んでみた。生物にかかわる研究や調査をしている人、または生物 に興味を持ち、それを趣味やライフワークにしている人を指す。普通はもう少し詳しく、鳥屋さん 魚類屋さん 両ハ屋さん(両生類・爬虫類)等と対象生物で 呼ぶ場合が多い。特にムシ屋と呼ばれる昆虫分野の人は、チョウ屋、ガ屋、カミキリ屋、カメムシ屋、ゴミ屋(ゴミムシ)等さらに詳しく呼ぶことが多い。
- 石塚あらた
- 環境省生物多様性センター技術専門員。同センターにおいて「いきものみっけ」プロジェクトや自然環境保全基礎調査業務などにかかわる。専門は昆虫学、特に河川に住む流水性昆虫に興味がある。最近のマイブームはシラスに混じる他のいきものさがし。

















