「いきものみっけ」キャンペーンディレクターのマエキタミヤコさんが送るコラムの3回目です。「季節の移り変わりを可視化する。いきものみっけ。」 をコンセプトに、なにげない日々の生活の中での「自然へのまなざし」と「変化に気づくセンス」の大切さについて、 "マエキタ的「街で見かけた、いきものみっけ」"をテーマに連載します。

いきものみっけ、キャンペーンディレクターのマエキタミヤコです。

吐く息も白くなってきました。冬本番です。そういえば「ふゆ」の語源は、山の動物が山ごもりして殖える、の「殖ゆ」という説もあるのだそう。見た目 にシーンと寂しく枯れた冬山を見ながら、いのちが芽吹く春を待ち、穴の中で殖える動物たちの気配を感じていた日本人。そんな「いきものみっけ」のセンスを いっせいに呼び覚ましたい今日この頃です。

12月3日、北海道は札幌で「いきものからのメッセージ~旭山動物園と考える地球温暖化」という主旨で「いきものみっけ」シンポジウムが行われたの で、いってきました。人気の旭山動物園の副園長、坂東元さんの講演は「ホッキョクグマだけじゃない!〜進行する温暖化 追い詰められる生き物たち」。生態 系を守るための温暖化防止が、逆に生態系を壊している、というボルネオの事例報告にびっくりしました。

石油は燃やすと温暖化が進むので、車を植物性の油で動かそう、とパームヤシのプランテーション(大型農園)が、今さかんにアジアやアフリカなどの貧 困国で作られているそうなのですが、皮肉にも古い森が伐採され、そこに住んでいるオランウータンが絶滅に追いやられている、というのです。これでは本末顛 倒。旭山動物園では多くの人にこのことを知ってもらうため、オランウータンの展示のなかで、現地の状況を伝え支援を呼びかけているそうです。

もうひとつの講演は、財団法人知床財団事務局の増田泰さん。「知床からのメッセージ~多彩ないきものたちと彼らをとりまく現実」という講演で、たく さんの知床の美しい写真とともに、知床のいきもののバランスをどうとっていくか、苦労と苦悩の現場をレポートしてくださいました。

とくに人間が、北海道で増えているシカの猟をしようと鉛の弾丸で撃ち、鉛の弾丸が体内に残るシカの肉をワシなどの猛禽類が食べると、その鉛の毒で汚 染されて死んでしまい、生物多様性がそこなわれる、という話はショッキングでした。北海道に広く分布する、本来の生物多様性を壊してしまう「外来種」セイ ヨウオオマルハナバチの報告もありました。

ボルネオや知床のような、スゴい自然じゃないけれど、じぶんちの近くの自然だって、おんなじように大事。崩れちゃったら大変。生物多様性は「見て」 「崩さないように気をつける」もの。だって自然は、人間にはわからないくらい精巧に組み合わさっているものだから。みんなで「いきものみっけ」て、くずさ ないように気をつけよー。そんな気持ちになった北海道のリポートを、今年の締めくくりにお届けしました。今年の夏からスタートしたいきものみっけ。参加し てくれた方も、コラムを毎回読んでくださった方も、どうもありがとうございました。来年もどうぞ、よろしくおねがいします!

マエキタミヤコ
「いきものみっけ」キャンペーンディレクター:コピーライター/クリエイティブディレクター。広告メディアクリエイティブ「サステナ」代表。大小多数NGOの広告をはじめ「フードマイレージ」「リスペクト3R」プロジェクトなどを手がける。