「いきものみっけ」キャンペーンディレクターのマエキタミヤコさんが送るコラムの2回目です。「季節の移り変わりを可視化する。いきものみっけ。」 をコンセプトに、なにげない日々の生活の中での「自然へのまなざし」と「変化に気づくセンス」の大切さについて、 "マエキタ的「街で見かけた、いきものみっけ」"をテーマに連載します。

いきものみっけ、キャンペーンディレクターのマエキタミヤコです。
今日、高尾山(たかおさん)のツリーハウスにいってきました。
JR高尾駅から小仏(こぼとけ)行きのバスに乗ったら、窓から草むらに降った霜が見えて。え、もう。冬のいきものみっけの季節なのね。洗面器に水を張って外に置いておかなくちゃ。

日影(ひかげ)のバス停で降りてトコトコ2分。絵本に出て来るようなツリーハウスの前の広場で、インドのアッピコ運動を率いて来た、ツリーハガーの ヘグデさんと、民主コンゴのタティくんのお話を聞きました。アッピコというのは、木を抱きしめる、という意味だそう。森林保全運動の一種で、木に抱きつい て森を守るのだそうです。高尾山の森を見て、どう思いますか、と聞いたら「すごい生物多様性だね」とほめてくれたので、インドの森もこんな感じ?と重ねて 聞いたら「ちゃうちゃう、もっとトロピカル」ですって。そりゃそうです、バナナやパパイヤですよね。失礼しました。民主コンゴのタティくんは、アフリカで は鉱物資源を掘り出すときに出る有害物質がそのまま流されてしまうことが多く、周辺の環境が破壊されてしまう、という問題を伝えてくれました。日本も耳が 痛い話です。

さて、いきものをみっけて、季節の移り変わりを知る、温暖化を知る、「いきものみっけ」。生物多様性のプロジェクトです。では生物多様性とはなに か。生物多様性というのは「いのちのつながり」のことです。「いのちのつながり」とは、たとえば食物連鎖のこと。私たちが日々食べているもの、ごはん、 魚、肉、野菜...これらはすべていきものです。その魚や家畜たちも、いきものを餌にしています。また、稲や野菜といった植物も、いきものの死がいを栄養 にして育っているんです。これらのつながりが「いのちのつながり」。それがないと人間が生きていけないものです。

石油は枯渇しますよね。つまり「持続不可能」な資源です。人間は文明に目覚めてから、この「持続不可能」な資源に頼って生きてきました。でも、本当 はこういう「持続不可能」なものよりも「いのちのつながり」のほうが大切なんです。この「いのちのつながり」が切れてしまったら、人間は生きていけませ ん。食べものもなくなってしまいますし、水も飲めなくなってしまいます。そんな大切なものが「いのちのつながり」、つまり生物多様性なのです。

そもそも日本は生物多様性がゆたかな国。1次産業を守れば、生物多様性も守れるという恵まれた国なのです。じゃあ十分に守れているかというと、残念 ながら、ぶぶー。ではどうすれば日本の生物多様性が守れるかというと、人間もいきものとのつながりの中で生きているということをもっと認識しなければダ メ。山を削ったり、海や干潟を埋め立てたり、堤防やダムを造ったり、川を護岸したり。当然ながらその上や下にいるいきものは、いなくなってしまいます。

これまでは経済最優先で来ていたかもしれないけれど、これからは生物多様性も大事な時代。背景には時代の流れもあります。2007年11月には、日 本は第三次生物多様性国家戦略を閣議決定。続く2008年5月には、2010年に開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)という国際会 議を名古屋に招致することに成功。この国際会議に向けて日本はますます生物多様性を大事にする国になるでしょう。もっと「いのちのつながり」に配慮したダ メージ最小限の計画に見直していかなくちゃね。

マエキタミヤコ
「いきものみっけ」キャンペーンディレクター:コピーライター/クリエイティブディレクター。広告メディアクリエイティブ「サステナ」代表。大小多数NGOの広告をはじめ「フードマイレージ」「リスペクト3R」プロジェクトなどを手がける。